突然ですが、メガネのプラスチックの事ってご存知でしょうか?
今回は
意外と知らない
プラスチックの生地のつくり方などについてご紹介したいと思います。
おもなプラスチックは
「石油系プラスチック」
「植物原料のプラスチック」
の2種類に分けられます。
そして、メガネに使用されるプラスチックは
「植物性のプラスチック」になっています。
現在では石油系のプラスチックが多いですが、
樹脂の元祖は植物から作られました。
約200年前から始まった合成樹脂の製造。
綿を原料とし、これが世界初の樹脂と言われたものとなりました。
それは
【セルロイド】
と言われ、世界初の本格的に商業化された樹脂となりました。
そもそも樹脂を発明するきっかけとなったのが
象牙に代わるビリヤードの玉を作ろうとした
所から始まります。ビリヤードの玉は、象牙で作られてたのですが、
値段が高い象牙にかわる材料を発明しようとした事がきっかけと言われています。
上記のセルロイドから時代を経て、様々なプラスチックが出てきています。
それが現在、メガネづくりでも主に使われている
【アセテート】
アセテートは
『軽量』
『加工がしやすい』
『燃えにくい』
などの性質を持っています。
更にアセテートは様々な柄や、模様を作ることが出来ます。
メガネのプラスチックの柄や色がどのように作られているのか?
その製造工程をお教えしましょう!
図の手順でアセテート生地が出来上がっていきます。
途中の工程が動画になっているものを見つけましたので載せておきます。
アセテート生地を作っているのは、業界最大のアセテート生地メーカー
【MAZZUCCHELLI マツケリ】
アセテート生地といえば『マツケリ』と呼ばれるほど有名なメーカーです。
歴史も古く、マツケリー社が創業したのは、
1849年
日本はまだ江戸時代、坂本竜馬が江戸へ修行に出る幕末のころに創業しています。
160年前から、プラスティック素材をつくってきた
マツケリー社のアセテートシートは、イタリア人職人の手作りの色彩感覚と、
透き通るほどの発色の鮮やかさで知られる世界のトップブランド。
世界的なファッションブランドが発表するセルフレームの眼鏡の半数以上は、
マツケリー社のアセテートシートを使っており、
マツケリのアセテートデザインは
セルフレーム眼鏡の流行を左右する、といわれるほです。
マツケリー社の製造は4つの工場で行われています。
2つはイタリアにあり、欧米・日本等の顧客からの
特別なオリジナル生地製造
鮮やかで繊細な模様柄を持つ湿式ブロック生地の製造
をおこなっております。
ほかにも押し出し、貼り合わせ、乾式ブロックも作っています。
3つ目に中国の深センにあるファーイープラスチックプロダクツは
大量生産の中国市場向けに早期にコストダウンを図る為に製造開始しました。
主に押し出し生地を製造しています。
4つ目の中国上海にあるSDSは湿式ブロック製造工場でイタリア本社と
同じ設備、材料、技術者を使って中国の安い労働力でコストダウンを実施しています。
作り続けて160年。
約160年もの蓄積された色柄は2万色を超えるほど。
特に湿式ブロックの洗練されたデザイン、技術力は他の樹脂の追随を許しません。
そんなアセテート生地には様々な特徴があります。
色や柄の組み合わせは無限大
『ちりばめる』
『寄木のように立体的に組み立てる』
などで作られる製造工程なので
色の組み合わせ、形状の組み合わせにより無限大の表現が可能になっています。
アセテート生地には様々な特徴があります。
透きとおるような透明度
透明度が非常に高いので、綺麗に色をつけることができます。
ナイロンやポリエステル、ペットボトルの素材などは濁りがあり綺麗な色が出にくい。
それら石油系の樹脂に比べると非常に透明度が高いため、
鮮やかな色を表現することができます。
さまざまな形に加工しやすい
植物性なので、木のように切削が簡単です。
また、60°の熱で変形をし始めるので曲げたりねじったりも比較的簡単にできます。
この特性を生かして、アクセサリーなどを作っているブランドもあります。
柔らかく靭やか
樹脂の中でも比較的に柔らかく靭やかなため、曲げても割れにくいです。
ご自身の顔に合わせたフィッティングが容易に行うことができます。
若干の吸湿性がある
植物性の自然素材から作られているので、水分を微量に吸う性質があります。
梅雨の時期、乾燥した冬の時期に合わせて職人も微妙に加工方法を変えます。
熱に弱く、変形しやすい
自然由来の素材なので熱に弱く、耐久性も他のプラスチックに比べ劣り
自然変形もしてしまいます。
そのデメリットを活かしてメガネはカーブを付けられています。
レンズは矯正するだけでなく変形を抑える役目もしています。
テンプルには強度をもたすため金属製の芯が埋め込まれています。
マツケリ生地を、オリジナルで作っているブランドもあります。
AZでも人気のブランド
JAPONISM
JAPONISMで使用されているスパイダー生地と呼ばれる生地。
このスパイダー生地はJAPONISM専売の生地になっています。
蜘蛛の巣のような、ステンドグラスの様な
不思議な風合いと色合いになっています。
スパイダー生地の中でも人気のある
ブラックスパイダー
およそ3種類の生地を3回重ねて作り上げるこのスパイダー生地
その3回重ねられる生地も、複数の生地を何度か重ねて作られているため、
完成までには数か月という時間がかかります。
どうだったでしょうか?
普段何気なく掛けている、選んでいるプラスチックにこんな特徴があったのです。
プラスチックだけでもこれだけ特徴があります。
次回は、今回取り上げた『アセテート』『セルロイド』
以外のプラスチックなどをご紹介できたらと思います。