老眼のお話 第3部

 話が長くなってしまいましたが、お付き合いいただいている方々、もう暫くお付き合いの程よろしくお願いいたします。

 さて、よく近視の人は老眼になるのが遅いとか老眼にはならないといった事をお聞きになることが多いかと思いますが、勿論大きな間違いです。キーワードは、老眼とは近くを見るときに起こる現象である事、そして水晶体が厚くならなくなって起こるということです。

 40代になってくると、どなたも水晶体が堅くなってしまって、厚みを変えてピント合わせをする事が困難になってきます。特に近くを見るときには水晶体を厚くしなければならないのですが、それが難しいわけですから、老眼鏡というのは凸レンズが必要になるわけです。では、誰もが凸レンズが必要か・・・というと実はそうではありません。

 目の良い人、もしくはキチンと矯正されたメガネを掛けた方なら、必ず凸レンズが必要になるという事です。では、近視の方はキチンと矯正されたメガネを掛けていると、近くを見るときにそのメガネの上に凸レンズを掛けなければなりません。ご存知のように近視の方は、凹レンズで矯正されるわけですから、凹レンズの上に凸レンズとなります。すると・・・そうです。メガネを外すことが、老眼鏡を掛けることと同じになります。

 実際には、元々の近視の強さによって、外したときに見える距離が違いますので、外したからよく見える方もいれば、弱い度にした方がよく見える方、少しだけ凸レンズにした方がいい方など、いろいろです。外せば見えるから、老眼ではないと思ってらっしゃる方!40歳以前は、外さなくても近くが見えていらっしゃったんですよ!

 あと、近視の方は、老眼になるのが遅いという噂についてですが、これは、老眼の自覚期が遅いと言い換えた方が良いのです。近視を矯正するメガネを作るとき、あまり強い度で作ることはしません。いわゆる「完全矯正」といって、目のいい方同様にしてしまうと、レンズによって物が小さく見えたり遠く感じたりする欠点が大きく出てしまいます。そこで、弱めに矯正したメガネが好まれます。凹レンズを弱めにしてメガネを掛けてるわけですから、目のいい方より、既に弱めの老眼鏡を掛けているわけです。だから、自覚期が遅いのです。

 またまた、長くなってしまいましたので度が強くなればなるほどキチンと合ったメガネでなければ・・・の件は、次回に譲ります。